パイプオルガンという巨大な楽器を操り、聴衆の心を揺さぶる熱演をされる亀井氏。ドイツで得た経験を日本に持ち帰り、積極的な演奏活動を続けられています。オルガンの魅力、そして彼女自身のこれまでについてお聞きしました。
亀井氏ご出演コンサート
長原教会コンサート〜パイプオルガン演奏会〜 出演:亀井 優
長原教会 東京都大田区上池台1-39-16
2018年5月27日 15時開演
入場料 1,000円 (高校生以下 500円)
[Programm]
J.S.バッハ:前奏曲ト長調 BWV568
F.メンデルスゾーン:3つの前奏曲とフーガ op.37 第2番 等
[ご予約] TEL 03-3720-6254 または nagahara.church@gmail.com
(メールの場合は件名にコンサートチケット予約とご記入ください)
オルガン発祥の地で、心奪われた音色
ーリューベックに留学しようとお考えになったきっかけは何ですか?
亀井:私がドイツ・リューベックに留学しようと思った最初のきっかけは、大学生の頃一度旅行で訪れて、まるで絵本の中から飛び出したような素敵な可愛い街並みに感動したこと、そして有名なオルガンの演奏を初めてヨーロッパの教会で聴いて荘厳できらびやかな音色に一瞬で心奪われ、ここで勉強したい!と強く思ったことでした。その数年後リューベック音楽大学のオルガン科の教授たちが参加するマスタークラスに参加をして、実際にレッスンを受け、雰囲気を感じて、改めてここで勉強しよう!と思いました。
ードイツには何年ほどお住まいでしたでしょうか。
亀井:4年半ほどでした。学部の7ゼメスターに編入して、その後マスター(大学院)まで勉強しました。
ードイツに住んで良かったと思うことは何ですか?
亀井:クラシック音楽は西洋の文化ですが、オルガンは西洋の楽器の中でも非常に歴史の古いもので、キリスト教と共に発展しました。なので残響の多い教会に響く音、空間、そして文化を身近で体感して知ることができたことはとても良かったです。リューベックや北ドイツには歴史的な有名なオルガンがたくさんあり、その楽器を演奏したり、クラスで演奏旅行に行ったことも良い思い出です。
またオルガンは世界に1つとして同じ楽器はありません!作曲家は当時演奏していた楽器で作曲することが多いので、私たちオルガニストは作曲家のイメージしたオルガンの音色や空間、その楽器のつくりをイメージして演奏しないといけません。そういった意味で、実際の楽器で演奏する機会があったことは何ものにもかえがたい経験になりました。
ー留学先で、印象に残っている思い出はありますか?
亀井:国籍、楽器を問わずたくさんの友達ができたことは嬉しいことでした。音楽のことを熱く語ったり、ドイツビールを片手におしゃべりしたり、一緒に料理を作ったり、コンサートに行ったり。。今でもかけがえのない大事な友人たちとの素敵な思い出です。
ドイツで「表現する事」の本質を磨く
ー留学先での先生の元で、どのようなレッスンを受けましたか?
亀井:レッスンでは先生はよく「呼吸をすること。歌うこと。正確に楽譜を読みとること。」とおっしゃっていました。この3つのポイントに気をつけ、習得することで、今まで苦手だった“表現すること”が少しずつ出来るようになりました。たまにレッスン中にワルツを先生と踊り、(もちろん今まで踊ったことないので、最初は恥ずかしさしかなかったですが笑)3拍子のリズムを体感したり、練習中の曲を歌いながら歩いてみたり、どう表現したいのかを話し合ったり、色々な角度から音楽と向き合うことができました。
また、本番前はどうしても精神的に不安定になってしまい、必要以上に練習をしてしまうことが多かったのですが、「新鮮な空気を吸いながら散歩しなさい!」とよくアドバイスされました。初めは半信半疑でしたが、次第にゆったりと流れる時間とともに散歩することで、頭も身体もリラックスすることができ、本番も落ち着いて挑むことが出来るようになりました。先生には本当に数えきれないほどたくさんのことを教わりました。
”楽器の女王”オルガンの響きを、人々の心に届け続ける
ー現在の生活についてお聞かせください。
亀井:大阪を中心に音楽活動を行っています。主に教会での演奏会、コンサートホールでのコンサート、合唱やオーケストラとの共演です。まだまだ日本ではポピュラーな楽器ではないですし、どこにでもある楽器ではなく、堅苦しいイメージがあり敷居が高いかもしれませんが、本当に数えきれないほどたくさんの素晴らしい作品があるので、楽器の女王といわれるオルガンの響きを、みなさんに感じていただきたいです。皆さんがイメージするオルガンの音色からオーケストラのような音色まで意外と(?!)多彩なプログラムで楽しいコンサートばかりですよ!
今後は小型の移動式のポジティフオルガンも使って、もっと身近なものに感じられるようにオルガンの良さを広められたら、と思っています。
ーありがとうございました。
昨今流行の兆しを見せる、古楽や教会音楽。その長い歴史の中でオルガン音楽は作曲され続けています。幅広いレパートリーと、迫力のパイプオルガンの演奏を聴いてみたい方は、是非亀井氏の演奏会へ!
亀井 優 (かめい・ゆう)
相愛大学音楽部オルガン科卒業。リューベック音楽大学学部および大学院修了。在学中マリー・ルイーズ・インブッシュ基金の奨学金を得る。
第5回アウグスト・ゴットフリード・リッター国際オルガンコンクール、ファイナリスト。これまでに多数のソロコンサートを行うほか、アンサンブルコンサートやオーケストラ、合唱との共演も行う。国内外のマスタークラスにてバロックから現代曲まで幅広く研鑽を積む。
オルガンを久保田清二、土橋薫、Franz Danksagmüller、Michael Radulescu の各氏、室内楽をArvid Gast氏、通奏低音を土橋薫氏に師事。現在、関西を中心に演奏活動を行う。一般社団法人日本オルガニスト協会会員。
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